スイスの山で日本人滑落死亡事故~スイスの山は気軽に行けるだけに気をつけましょう!

地元で仕入れた情報シェアです。

 

私が毎夏ガイドをさせてもらっているサンモリッツエリア。ツアーでもよく使われるディアボレッツァ展望台のエリアにて先月、日本人観光客が滑落して亡くなる事故がありました。

地元紙でしか報道されていないようなので、その内容をざっと翻訳いたします。

・事故は、2023年6月28日発生
・日本人旅行者の2人組
・死亡は74歳男性
・展望台に上がった後付近で別れ、それぞれ個人行動をしていた
同行者が相手が戻らずかつ携帯も繋がらない為行方不明として救助要請
・REGAドクターヘリで捜索
・ムントペルス付近標高3150m付近で本人発見 その場で死亡確認される
・付近には携帯、リュックなど散乱
・ムントペルス登頂目指す道中滑落とみて状況見分中
 
原文記事リンク
 
※REGAとは、スイス山岳エリアで活躍する救助ヘリの名称。
 
Munt Pers(ムント・ペルス)とは、ディアボレッツァ展望台から登頂できる山の名称です。
 
↑ディアボレッツァ展望台と、その奥に見えるのがMunt Pers(ムント・ペルス)
 
ディアボレッツァ展望台:標高 2,978m
ムント・ペルス:標高 3207m
 
 
現地のマップや標識による標準時間では片道2時間程度で行け、登山ではなく「ハイキングコース」という位置づけではあります。
実際私も2回このコースへ行ったことがありますが、アイゼンもピッケルも必要なく普段のトレッキングシューズにいつものハイキングの服装。しかも1回目は犬連れで行ったくらい”気軽に”登れる山ではあります。
 
↑地元で配布しているハイキング・イラストマップ。イラスト仕様なのもあり、より気軽な感じがするが…
 
 
しかし!ハイキングというよりはトレッキングなコースであり、標高がもう3,000m超えなので森林限界どころか草も生えない荒涼とした山肌。そしてコースは全般的にゴロゴロとしたガレ場が続きます。
標高に加え、目の前に氷河がそびえる4,000m近い山々の隣、ベルニナ峠という峠エリアに位置する山ですから、ガスや雨、風といった天候の変化を受けやすい。そしてひとたび荒れれば下界とは比べ物にならない荒れようとなるでしょう。
 
標高3,200mと言えば、日本なら槍ヶ岳より高いです。
槍ヶ岳、北穂高以上か…と思えば、相当な準備と覚悟を持たれると思います。
 
しかしながら、ここディアボレッツァ展望台は気軽に標高3,000m付近まで行けてしまう為、その感覚が少し鈍りがちかと想像します。そしてこちらの方はいかにも気軽な感じで…足取りも装備も(半袖半ズボン、小さなリュックで)… なので、そういうのを目にするとますますバグるかも知れません。
 
だけど、山は山。そして本場アルプスです。
 
また、山頂も石がかなりゴロゴロしていて、狭い山頂の端からはいきなり結構下まで絶壁。
私も登った時に下を覗いて「こわっ!」と思ったのをよく覚えています。
 
標高3,150m付近で発見された…という事は、無事登頂した後、写真を撮っている際に足を踏み外したか、山頂付近の岩が崩れて滑落してしまったのかな… という風に想像します。
 
↑山頂に向けての登り。大きさ比較に手前に生前の愛犬イーラ。
 
↑道中ずっとこんなガレ場。右の赤は先を行くハイカーさん。
 
↑山頂に向けての最後の登り。ガレ場に加え、結構な急斜面なのがわかる。
 
↑山頂付近。岩先にとまるカラス。
 
↑山頂。奥に見えるのはベルニナ山群。
 
↑下りにて。ガレ場をかきわけて作った感じの細いコース。コース自体ご覧のように斜度がついている箇所も多いし踏みならされているので、気をつけないと特に雨の後など濡れていると滑りやすいであろう。
 
 
この日、私はちょうどサンモリッツからTiranoに戻る途中で、午後にベルニナ線でディアボレッツァ付近を通りました。当日は雨こそ降っていなかったものの朝から雲が低く、かなり風が強かった。ディアボレッツァ展望台およびそこから見えるベルニナ山群は雲で全然見えなかったのを覚えています。
標高1,800~2,000m付近の低地でそうですから、高地はより風が強かった可能性があります。事故があったのは記事によるとmittag~正午~とあるので午前中は天気が良かったのかも知れませんが、風自体は朝から強く雲の動きも早かったのでコンディション的には良くなかったはずと思いますが… なぜそんな時に、、、というのはちょっとありますが、せっかく来たんだし…とかの気持ちもあったのかも知れませんし、そこは誰にもわかりません。そして起こってしまったことは変えられません。
 
ご冥福をお祈りいたします。
 
そして繰り返しになりますが、このようにスイスの山というのは交通機関が発達していて気軽に高いところまで行けますが、山は山である、という点は忘れないようにしましょう。
 
この事例から学び、二度と同じような悲しい事故が起こらぬよう努める事が、山にかかわる人それぞれに大切な事ではないかと思います。
 
学生時代、修学旅行で聞いたセリフじゃないですが、「ただいまを言うまでが旅行」。楽しい想い出と共に「ただいま」しましょうね。
 
 
合掌。
 
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以下に、地元紙の記事をコピペしときます。
上記翻訳内容は、サンモリッツ在住のドイツ人友人とGoogle翻訳で理解した内容。何かミスがありましたらご指摘下さい。
 
以下記事、Engadiner Post より。
 
 

Leichenfund am Munt Pers

Am Mittwochmittag sind am Munt Pers in Pontresina Wanderutensilien aufgefunden worden. Beim eingeleiteten Suchflug wurde ein lebloser Mann in steilem Gelände aufgefunden.

Am Mittwochmittag ging bei der Einsatzleitzentrale der Kantonspolizei Graubünden die Meldung ein, wonach bei einem Steinmännchen auf dem Gipfel des Munt Pers, ein Rucksack und Wanderstöcke abgelegt sind. Unweit davon lägen im steilen Gelände noch ein Mobiltelefon sowie ein Cap. Kurz darauf ging eine Meldung ein, wonach ein japanischer Tourist seinen Kollegen vermisse. Aufgrund dieser Meldungen führt die Rega einen Suchflug im Gebiet durch und konnte im unwegsamen, steilen Gelände, auf rund 3150 m ü. M. eine leblose Person orten. Ermittlungen durch Alpinpolizei Gemäss ersten Erkenntnissen hatten sich die beiden Kollegen kurz oberhalb der Diavolezza Bergbahn getrennt. Der 74-Jährige muss sich im Anschluss alleine in Richtung Munt Pers aufgemacht haben. Beim Steinmännchen des Gipfels, am Fundort seiner persönlichen Gegenstände, muss der Japaner in steilem Gelände rund fünfzig Meter abgestürzt sein. Der Rega-Arzt konnte bei der Bergung nur noch den Tod des Mannes feststellen. Zusammen mit der Staatsanwaltschaft Graubünden klärt die Kantonspolizei den Todesfall ab.
Autor: Polizeimeldung

Foto: z.Vfg.

 
 
 

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