羽生くんが今、ここでする意味〜Notte Stellata 2024レポ〜

おととい3月9日、初めてフィギュアスケーター羽生結弦くんのアイスショーに行ってまいりました。

地元仙台で、東日本大震災3.11を前に、震災当時は県内最大の遺体安置所として使われていたスポーツスタジアムにて催されるイベント、Notte Stellataノッテ・ステッラータ 〜星きらめく夜〜

元々、同じ仙台という事もあって愛着はありましたが、追っかけするほどでもなければグッズや本も持っていないし、テレビ出演する時に時間が合えば観るかな~程度の、まぁファンとも言えないレベルの底辺ファンだったわけですが… ヤバい、生羽生くんを見て惚れた。あのマンガから出てきたような8頭身の御姿は言わずもがななのだが、何より人間性に惚れましたね。

昨年の超スピード結婚離婚騒動でいささかマイナスなイメージを持った人もいるかも知れません。または”震災を借りて儲けてんなぁ”とか曲がった見方をしている方もいるかも知れません(これを読んでくれてる人の中にはいないと思うけど世の中には確実に一定数存在する)。そんな人には是非一度、彼の舞台に実際足を運んで見て欲しい。話はそれからだ。

今回の公演に向けてのインタビューでの彼の言葉「もらったものを少しでも返したい」 そのままに、随所に利他の精神が感じられて素晴らしかった。

長文になるので先に簡単にまとめると

1.地元宮城県への貢献…経済的および精神的

2.スケーター、スケート業界など同志への貢献…経済的および精神的

まず1.地元宮城県への貢献、経済的編

…イベント告知ではチャリティーなんて一言も書いておらず、チケットはスタンドでも二万円超と一瞬「高ッ!」て感じだけど、あれを見ると実質のチャリティー、彼自身にはほとんど利益ないんじゃないかと思う。

だってこの公演、めちゃくちゃコストかかっています。まず会場は普段はスポーツ競技場なのでスケートリンクはない。なのでショーの為にリンクを設置しないといけないのだ。氷を作りそれを三日間維持・整備するコストは大変なものだろう。いやリハもあるから三日じゃきかないわ。

それに加え、大変へんぴな場所にある為、観客輸送に仙台駅と会場を結ぶ大量の大型バス。これはもちろん利用者から料金取りますが、この期間中は宮城県中の観光バスは全部出払っているんじゃないかってくらいすごい数で、地元バス会社への貢献度高し。それに付随するバイト君たちなどの雇用の創出も。

↑ 当日は仙台駅東口出た所からずっとこういったパネルで迷わず誘導できるようになっている。行く前からテンション上がるや~ん

↑帰りの輸送の為に駐車場に集結している大型バスたち。誘導もスムーズで次々バスが出発して行って快適でした。もちろん少しは屋外で待つのでしっかり防寒はしていきましょう。利府のちょっと丘になったところにあるから仙台より明らかに寒いです。リンクのある会場内よりバス待ちの時の方がだいぶ寒かったわ。

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そして「羽生結弦」というブランドで日本全国どころか世界中からやってきた観客が仙台に宿泊し食事をするわけで。羽生くんの故郷、というだけで仙台のイメージも良くなったりして、彼の経済効果はえげつないなと溢れるファンの波にのまれながら実感。

また、会場前の広場には羽生くんグッズ売り場の他にも複数出店が出ていたのだが、これが全部地元宮城のお店だった。津波で大きな被害を受けた石巻、会場の利府町、宮城県…こんなところにも、地元にお金を落とそうという羽生くんの心遣いが感じられておばちゃん公演前からぐっとなった。

次、地元への貢献・精神的には…

…やはり、美しいものを観る事で得られる、月並みな言葉だけど感動、勇気といった感情を動かされる効果。震災を忘れないようにと気持ちを新たにさせてもらえる事。。。

公演名Notte Stellata(ノッテ・ステッラータ~星きらめく夜)が示す通り、暗い夜空にキラキラと光る希望や命のともしびのように。

イタリア語タイトル、ってところがもう個人的に親近感だし、私は当時すでにイタリアにいたので、彼があの日見た、停電で街が真っ暗になり不安と混乱の中で見上げた美しい星空はわからないけれど、2020年にコロナでイタリア全土がロックダウンになった時、同じように静まり返った街で不安の中、でも車の往来がなくなったおかげでいつもの百倍綺麗だった星空…と、イタリアつながりからか自分の中でリンクして、まるで同じ星空を共有したような気持ちになりました。

↑トイレ待ち中、廊下に貼ってあるのをちょくちょく撮ってた。防寒の他注意ポイントはトイレ問題。9割以上が女性でトイレの数はそれに比較して圧倒的に少ないのでかなりの列ができます。我々は会場に入って席確保してからすぐ並び始めたけどそれでも個室にたどり着くまで30分はかかった。四季劇場みたいに舞台をメインにした会場であれば一斉のトイレ休憩に対応すべく入口と出口が別だったり個室が多かったりとスムーズな導線が確保されているが、ここは普段はスポーツスタジアム…つまり、各々が行きたい時にトイレに行く想定しかしていないので、各トイレ個室は10-12程度、入口と出口も同じなのでめっちゃ動きが滞ります。ベストはもう当日は水分控えめにして会場ではトイレ行かない!かな。

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2.スケーター同志・業界への貢献

…私と母は最初「羽生結弦アイスショー」の部分しか見ていなかったのでお一人でずっと滑るのかと思いきや、現役時代や仙台に縁のあるスケーターを計9名も招いてのショーだった。これが国内のみならず海外からは4名も!そのうち一人は、羽生くんと表彰台を争ったフェルナンデスなんですヨー!びっくり。いつもテレビで見ていた有名人を思いがけずこんなところで見られるとは…

いやこれだけの方々を円安の今、もちろん渡航費滞在費含めギャラも出して呼んでるわけでしょう。。。リハもあるから最低1週間は滞在として(電卓ピコピコ)…とんでもないコストですわよ。目玉のコラボ、大地真央さんへの御礼もねぇ、ほら大御所でいらっしゃいますから…

日本勢からは私の大好きな鈴木明子さん♡ を始め有名どころのスケーターさん達勢ぞろい。

これだけの豪華ゲスト・キャストへのお仕事、という経済的貢献もさることながら、スケーターさん達への精神的貢献というか、本来の才能を存分に発揮できる場を同志として提供する意味合いもあるんだろうなぁと思った。だって集客力で言ったら羽生結弦ネームだけで十分だもの。

フィギュアスケーターとは考えてみたら、競技を退いたらその後、なかなか人前でスポットライトを浴びて披露する機会はないのではなかろうか。一般的ダンサーやパフォーマーなら、ちょっとした舞台があれば、なんならストリートでもできるけれど、スケートはそうはいかない。最低限でも立派に広い氷のリンクが必須。一般的スケート場なんて観客席備えてないから、ショーをやるとなると今回みたいに臨時のリンクを備えるなどとんでもない設備投資が必要。てことはそれをペイできるくらいの相当な集客力がないと実現できない。だから大部分は引退後コーチや解説者、振付師として活躍されているけれど、きっとそれで食って行くのも大変だと想像する。

そんな中で、たくさんの観客の前で演技するのは結構久しぶりの方々もいたのではなかろうか。実際に演者さん達は実にのびのびと楽しそうに滑っていた。ジェイソン・ブラウンさんなんて演技後、ぴょんぴょん飛び跳ねながら観客にお礼していてとっても可愛いかった。競技と違って衣装もプログラムも自由だから、見てるこっちも安心して楽しめたし。

そしてきっと演者さんの気持ちをより盛り上げたのは、外国の演者さんの時はちゃんと観客席にその方の出身国の国旗がはためいていた事だと思う。よく用意してるなぁ、と感心したのだが、例えばフェルナンデスのソロが終わって照明が明るくなると、向こう側の客席にスペインの国旗が一枚のみならず何枚もはためいている。これって相当嬉しいよね♪ アリーナ席(料金が高い前の方)の方々だったのできっと何度も通っているガチ勢なのでしょう。そんな気遣いができるさすがの羽生くんファン!そんなファンのファンにもなりそうでした。

↑地元紙河北新報の記事より。スクラップしちゃった。

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…そんなわけで、大変な労力のオーガナイズと膨大なコストをかけて今回の舞台を実現されたわけですが、それはやはり「羽生結弦」というブランド力のなせる業。彼はマスコミに対する報道条件などがかなり厳しい事で有名だそうだが、それは決して自己保身の為だけではなく、地元やスケート界を今後も盛り上げていくツールとしての「羽生結弦」をしっかり守っていくためなんだろう。

なんだかプロになった途端、ゴシップのおかずのひとつみたいに扱われるようになった気がするが、同じ日本人として恥ずかしくないのだろうかと思う。

彼の名は今や世界に通用する一流ブランド。フェラーリやシャネルみたいなもんですよ。

イタリアのマスコミがさ、わざわざフェラーリの事を陥れるような報道をこぞってするだろうか?おフランスがシャネルのプライベートをほじくり出すだろうか?

いい加減に足の引っ張り合いな最近の国民性はやめろ、って思う。

…話はそれましたが、そんなわけで羽生くんというブランド力もすごいんだけど、根本は彼の人柄だろうな~、と今回いろんな方との共演を間近に見て思った。ライバルであったフェルナンデスと今でもこうやって仲いいのもそうだし、他の共演者もみんな素で仲良さそうで楽しそうで。それぞれのソロプログラムではほぼ全員、伝説のイナバウアーを取り入れてくれてたり、最後にみんなで声を揃えて「アリガトウゴザイマシタ」って日本語で言ってくれたり… やっぱりいい意味で類は友を呼ぶんだな、と感動と共にとてもあったかい気持ちをいただいて会場を後にしました。

その他、

テレビでは伝わらない、滑る時に氷を削る音や、羽生くんが四回転(たぶん)を披露してくれた時に着地音が思いのほか強い衝撃音で驚いたり。それだけGに逆らってすごいエネルギーで飛んでるんだな、と。羽生くんと鈴木アッコちゃんを同時に、自分の視界におさめられるという幸運もいただき、しばらくは余韻に浸って生きていけます。

以上、長文を最後までお読みいただきありがとうございました。自分のまとめもかねて、羽生くんNotte Stellata2024レポでした。

***おまけのこぼれ話****

① ちなみに今回の座席は東側スタンド、Uブロック・10列目・2&3番席でした。

抽選なので席は運次第。アリーナが当たらずスタンドになったのだけど、スタンドでもいい席の方だったと思う。何より前が階段スペースになっているので誰もいな~い♪ 端っこの方だから”すいません”連呼しながら行き来しなくて済む~。てことで大満足でした。

② なんと前日に、夏のベルニナ線ガイドのご相談として電話でお話した方がガチの羽生くん追っかけさんであった。おかげさまで事前にトイレ問題の話などいろいろ有意義なアドバイスをいただきました。まさか前日にそう言う方とお知り合いになるなんて、ご縁を感じましたねぇ。羽生くんエンジェル☆

その方はなんと、国内のみならず海外でも羽生くんの行くところ出るところはほとんど全部観に行っているという…親族か付き人か?ってレベルのすごいお方。なのでベルニナ線含めた旅の日程も、羽生くんのアイスショー日程次第だそうだ。すごいわぁ。そんなに誰かにハマれるのもすごいし、何よりそれだけの行動をするには時間と財力が必要なわけで…うむ、いろんな意味で私にはできない。

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