雪も歴史文化も奥深し上越~インバウンド視察に行ってきました~

Esplorare il Giappone di una volta…nella area Jou-etsu, prefettura Niigata.
 
今回、特定の年齢になった暁に使えるようになった「JR東日本大人の休日倶楽部パス」を初めて使ってみたいが為にほぼ思いつきで訪ねた上越。(そしてその帰りに前回投稿のカオスにハマりました)
もう十年近くにもなる、私の初めての現地ガイドのご縁から繋がっていた方を頼りに、当地方の何の下調べもしないまま行ったのだが、思いのほか独自の文化と歴史の香りあふるる街でびっくり感銘を受けました。
 
自分の前情報としては 
「日本海側だから冬のお天気は曇りがちで街にはたぶん雪がある」
そんな程度だったのだけど、想像より豪雪地帯らしく、雪と共存(闘う?)為の暮らしの工夫があちこちに。
 
↑道路や広場のあちこちに、除雪した雪がこんな山になって置いてある。
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新潟の風物詩として言わずもがな(?)の消雪パイプから始まり、観光に連れて行っていただいた高田の旧市街では、各家庭に2階の屋根まで上がって雪下ろしする為のはしごがずらりと並ぶ。雪に濡れず人が歩ける為の工夫として発展した雁木(がんぎ)は、今ではこの街に独特の風情を醸し出す貴重な存在となっている。雁木の軒先の奥には、間口が狭く奥行きの長~い町屋ののれんが顔をのぞかせ、その雰囲気は正に小京都。
 
↑ 一階の屋根から二階に向けてこのようにハシゴが。ほとんど各家庭に標準装備。
 
↑ 高田、旧市街の街並み。
 
↑雁木(がんぎ)の様子。この、家屋からちょっと出たアーケード的屋根をこの地方では雁木という。なんとこの雁木部分も私有地で、各家庭が公共の利益の為にこしらえるのが伝統だそう。だから敷地が変わると雁木の造り、デザインも変わってそれもまた面白い。
今よりずっと雪が多かった昔は、除雪した雪は撤去できる限界量を越えていたので、冬の間道路に山となり春を待つしかなかった。なので道路は雪山としてふさがれていた為、歩行者にとってこの雁木は貴重な通路だったのだ。ちなみに、道路のこっちから向こうにも行けるように、要所要所、雪山にトンネルも掘られていたそう。…なんか楽しそう。
 
↑ 町屋の内部。高い天井、幾重にも張り巡らされた梁… 北陸の湿って重い雪に長年耐えてきた重厚感。この自然な木材のカーブを活かした配置がにくいねぇ。
↑ 町屋の二階から階下を眺める。ここはとある先祖代々の町屋家屋を守っておられる方に、特別に見せてもらいました。いやぁこんなとこ住みたい。
 
 
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日本最古とも言われる、昭和レトロ感満載の映画館がいまだに現役で活躍していたり、昨今の国産ワインブームの先駆け、おそらく日本で初めて…なんと明治からワイン用ブドウ栽培をしているというワイナリーにも連れて行っていただき… 発見が目白押しの2泊3日でした。
新潟県の事を、上越・中越・下越と分けるけれど、それは都であった京都を起点にしているから西の方が上越なんだな、って事も今更ながら理解し、そしてその通り、上越には前述の町屋に始まり、皇族も滞在されたという由緒ある料亭。丁寧に雪吊りされた日本庭園に上品なお味のお料理と甘すぎない和菓子… 確かに東京や、ましてやカッペ(田舎っぺ)の東北には絶対にない優雅さと奥行きがありました。
※東北出身だから言う。別に自虐でもなく現実として。今や東北の首都と言える仙台と言えど、やはりこういう歴史のホンモノ感を感じる場所はない。かろうじて松島だけどあれは自然風景だから。北陸出身の両親が常々言っていた理由が今回つくづくわかった。
 
↑ 昭和レトロ感満載の映画館「世界館」。映画が特別な娯楽だった頃の、贅を尽くした装飾が今も健在。木の椅子も懐かしい~。
↑ ちょっとしたイギリスのミュージカルシアター的な内装。
 
 
↑ 500円で内部見学可能。映写室も見られる。…ニューシネマパラダイスを彷彿とさせるわぁ。
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↑ 1890年創業。岩の原葡萄園。冬なので畑まで行けなかったが、普段は無料でワイナリー散策できるらしい。豪雪地帯なので、苗が雪で倒壊しないように、2mくらいの高さの棚づくりにしているそう。…だから手入れは毎回脚立に乗ってやらねばならず、大変な手間である…と、試飲&販売所の若い女性が説明してくれました。
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是非、インバウンドでイタリアの方々にも紹介したいなぁ、と思ったけれど、それ以前に日本人にも知られなさすぎている!高田の街自体も、前田藩の頃に作られた城下町の形を今だしっかりと残しており、歴史好きの方にはとっても面白いと思う。
 
そして、今回突然の申し出にもかかわらず歓待して下さり、様々な楽しいところに連れて行って下さったYさんのお宅が立派なお寺だった事にも驚いた。こんもりした森に背後を守られた、屋根部分が3分の2くらいあるかやぶき屋根家屋。その目の前には田んぼが広がる…という理想的里山「ザ・にほん昔話」な風景の中で、民話の1ページにタイムスリップしたかのような時間を満喫させていただきました。
広々とした土間。東京なら土間だけで一軒建つわあれ。
土間から続く大広間なんと三部屋!そのわきに長々と続く渡り廊下。廊下だけで徒競走できそうな長さですよ本当に。
さらにその奥に角を曲がって階段を上ってようやく本堂があるという。。。自宅で迷えるレベル。
本堂中央に鎮座される品のいい(そしてきっと結構な年代物の)阿弥陀如来さまと言い、経本原本と言い、これ普通に保管してていいんですか?と素人感覚で思うようなお宝の宝庫… って、これ以上細かく説明すると悪用されて泥棒さんに狙われてもいけないからやめますが、いやぁ、今回は、日本再発見って感じでしたね。
 
↑ 分厚い屋根にどっしりと守られている感じがひしひしと伝わってくる昔のお家。そして一般家庭でも雪吊りは必須だそう。大変な作業ですよね…
 
↑ ご自宅前の田んぼ。一面雪。気持ちいい
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雁木が作るアーケード街なんてボローニャの街並みを彷彿とさせたし、こんな田舎に(失礼)こんな歴史ある街並みや古民家、隠れたお宝のあるお寺があるあたりって、イタリアの、えっこんな田舎にこんな素敵な街並み、こんなすごい教会あるの?的な驚きに似たものがあるし、前々から感じていた日本とイタリアのシンクロする部分をまた発見した感覚がある。
そして私は、日本では新興住宅地に生まれ育ち、仕事でも都会ばかりだったから、日本の田舎というものを全然知らなかった。。だから正直、日本て新しい街並みばかりでつまらない…と思っていたのだけど、そんな事全然ないな、と。田舎の方がずっと歴史の重みがあって面白く、また日本の文化が生きている地域だと思う。
他の田舎の例にもれず、若者が少なくなっていって大変だそうだけど、一方で例のワイナリーでは若いスタッフさんばかりで、Uターンで戻って来た情熱あふれる子や、お嫁さんに来た同じく宮城出身の若いお嬢さんと盛り上がったり、きっと、地元を愛する次の世代の人達によりちゃんと受け継がれていくんじゃないかなぁ、、、と、常に曇りがちな北陸の空にも明るい光を見たような気がしたのでありました。
マジお勧めです、上越。最寄りは上越新幹線の上越妙高。そのエリアだけでも楽しめそうだけど、金沢観光前後の立ち寄りや、長野も近いのでスキー滞在との組み合わせもいいと思う!
 
↑ 町屋をリノベしてスイーツ屋さんになっている料亭前の建物。トタンをあえて残してお洒落になっている。
 
↑ 料亭ランチ。丁寧に雪吊りされた庭園を見つつ。
 
↑ 甘すぎないスイーツが惜しかったのでお土産に買った和菓子を自宅で食べる。赤鬼・青鬼さんが可愛い。
↑ 上越妙高駅の丸ポスト。街中にもあった。似合う。
↑ 上越妙高駅のドーム型天井。木がふんだんに使われていて素敵。
 

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