日本人だけが料理写真を撮りたがる深層心理

海外に住んでおりますと、我々日本人にとっては普通のちょっとした仕草・行動にもかかわらず「おっ、典型的ニホンジンだねぇ」と海外の友人知人から言われる事があります。
そのうちのひとつが、”料理の写真を撮る” 行為。
↑先日、元同僚と行った仙台の和食「大原」さんでのコースランチ一品。鰆(さわら)に、大根でこしらえた紅白梅が可愛らしい♡
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レストラン、居酒屋でおいしそうな料理が運ばれてきた時、食べるより先にまず行う、料理を被写体に写真を撮る行為。忘れて写真撮る前に手をつけちゃったりすると「あぁ~!」と後悔しつつもやっぱり撮って、SNSに上げる場合は「手つけちゃいました」と断り書きしてまでも撮る。
これ、日本人だけです。
百歩譲って料理の写真を撮る人が日本人以外でいたとしても、それは料理を食べているシーンを撮るのが目的で、大体料理を手にした人物や背景も入った写真となる。料理だけを一品一品 料理雑誌然りの勢いで丁寧に撮るなんて海外ではまず見ません。
でも日本人としては、なんか撮らないと落ち着かない。
インスタ映え~、とか意識していなくても、つい 撮っちゃいますよね。
SNSに上げるわけでもなければ、後で家族に見せるわけでもなく、何なら撮っただけで満足して自分でもその後見ない。数か月後に気づいて消去するのがわかっていても、何となく撮らずにはいられない。
↑家族と行った東京湾クルーズフレンチでの一品。ん~、日本の海の幸の美味しさ、新鮮さはどこもかなわない!イタリアも海に囲まれてるからそこそこ新鮮だけど、日本の新鮮さを知ってるともうね…贅沢な事です。
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私も海外がすでに十余年となっても、未だに撮ってしまいます。一枚でも撮っておかないとなんか落ち着かないんですよね。もちろん全日本人がそうとは言わないが共感できる人は多いはず。
この心理は何なのだろう…
帰国中にここぞとばかりお客様や家族友人との会合の際に撮った大量のお料理写真を眺めつつふと思ったのですが、これは、桜を愛でる感覚と同じなのではないか。
日本人が国民総出で春になるといそいそと花見に出かけ、テレビでは桜開花予報までするというこれまた日本独特の文化の根底には、日本人の禅思想があるからでありましょう。
根本的にこの世は無常。儚いものである。
命あるものは全てなくなる運命にある。
今世が終わったら輪廻転生で次は虫けらかもしれん…
そんな切なさを、一斉に咲きその後未練なく潔く散る桜に見出し強く共感するのでしょう。
そしてその特徴は、料理も同様。
できた瞬間はこの上なく食欲をそそる彩り・盛り付けで芸術品だけれど、ひと箸つけた途端それは一瞬で崩れてしまう。終わるためにその美しさはある。
↑ 同じく大原のコース。春らしくこごみの天ぷらがでた♪先ほどの鰆と紅白梅のように、料理にふんだんに季節を感じさせるのも和食ならではの魅力。
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もちろん普段はそんな事考えず、わぁ美味しそう~♡ と記念に撮るわけだが、潜在的には日本人特有の無情への憧れがあるに違いない、と私は思っている。
だって実際、キリスト教主体の欧米ではいちいち料理の写真撮る光景なんてまずない。現地の友人と食事の際、私が真剣に料理の写真を撮っている間、不可思議なものを眺める表情で見られている事がままある。
輪廻転生なんて絶対なく、自分は生まれてから永遠に自分…であり続けるあちらの思想文化では、そりゃあ、料理を撮るなんて行為には全く意味を見出せないのも当然だろう。んな事より腹減ってんだから早く食べようよ~、があちらの感覚(特にイタリア人)。
ついでに言うと あまり盛り付けられた料理を愛でる、という感覚もあちらの方々にはあまりなく、来た瞬間に荒々しくフォークをぶっ刺す。そんな行為を見ても、彼らにとってはどんなに美しく盛り付けられた料理も根本的には腹を満たす物質でしかなく、人間とそれ以外を明確に区別するキリスト教をはじめとする一神教らしいとも見えてくる。
ま これはあちらのやり方が悪いとか劣ってるとかそういう意図は全くなくて、単なる違い。あるとすればどちらがより好きかどうか。
私はやっぱり日本人なので 日本の風習が好きだ。
写真は最近の文化だとしても、日本に古からある”いただきます”の言葉。お椀を持ち、箸で丁寧に器用に食べものをいただく作法。食べるって行為の全てに食材へのリスペクトが表現されていると思う
改めて外からこういった日本人の”当然”の振る舞いに気づくと 結構感動するものです。それを当然としてもう無意識レベルにまで浸透しているところがますます素晴らしい。インバウンドで日本が注目される一方、日本人の自己肯定感が低すぎるまま何十年も引きずってますが 日本人はもっと自分達の稀有な才能に目覚めた方がいい。
…という事で今後も堂々と海外のレストランでも写真撮影で盛り上がろうではないか。
↑お次は赤羽の和食、あら川の天ぷら☆。ここは都内でも貴重な、日本酒十四代酒蔵と提携されているお店です。酒蔵直送!の様々な十四代が飲める!提携しているのは都内でも2・3軒しかないそうな。日本酒の中でも十四代が大好きなのでたまりません。また行こうっと。地元宮城県の浦霞もありさらに好感度アップ。
↑同じく赤羽。夏にスイスでお会いしたお客様とランチの際のデザート。手作りアップルパイにバニラアイスが乗って最高でした。

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