小麦粉に非表示のまま入っているかも知れない添加物7選

前回、小麦粉には人工的にグルテンが増量されてる場合がありますよ~、という話をしましたが、その後さらに調べたところ、グルテンどころか他にも実にたくさんの人口添加物の使用が認められていることがわかりました。しかもそのどれもが「表示不要」な為、パッケージをいくら見ても知る術がない!ならば知識をつけるしかない!…という事で、私が調べてわかった事をシェアいたします。

↑こちらは我が家自家栽培・自家製粉のライ麦粉とライ麦パン。

 

※今回シェアする内容はイタリア国内での規定です。でもイタリアでこうって事はEU全体がこうなはず。そして食品添加物規制にむちゃくちゃ緩い日本ならますます同じどころかそれ以上に規制がゆるゆるな可能性大です。 今回日本の事で調べようかとも思いましたが、日本語ではいろいろ情報が出ているから各自興味があれば簡単に調べられるし、せっかくイタリア語がわかるのでイタリアの状況をシェアした方が有益かなと思ってそうした次第です。お役に立てば幸いです。参考記事は最後で紹介しております。

※私は添加物を全否定するスタンスではございません。特定の添加物は商品として流通する際にむしろ必要です。畑や自家製ワインをやっている身として、全くの無添加ものがいかにデリケートかわかるので。しかし同時に、消費者として日常で無意識のうちにこれだけのものを摂取している可能性がある…という事は知っておいた方がいいと思っています。もちろんこれら添加物は現時点で国や食品安全機構なんたら等により「健康に問題なし」というお墨付きがあるので入っているわけですが、これが何年後何十年か後に”やっぱり良くなかったです”とならないとも限らない。鉛や水銀など、歴史が示すように…

仮に将来的にも健康に全く問題がないとしても、いぞれにせよここまで様々な添加物を入れないと成り立たない現代の食品ビジネスというのは過剰だと個人的には思っています。今回この小麦粉の例をもって、”本当の美味しさ””持続可能な食生産の在り方”を考えるきっかけになれば幸いです。

※動画版はこちら

1.小麦粉に添加が認められている添加物

まず、イタリア国内で販売されている小麦粉に添加が認められている添加物。名前と役割を簡単に説明します。

① グルテン

…前回の動画・投稿でお伝えした通り、小麦粉にもともと含まれている成分で、小麦粉食品のモチモチやふくらみには欠かせない成分。さらにモチモチさせたり、よく膨らませる目的で添加される。

② モルト

…麦芽からとれる成分。小麦粉精製過程では粉や濃縮シロップ等の形で添加される。酵素の働きを良くする働きがある為、パンなどを作る時の発効促進の目的で添加される。

③ ビタミンC

…またはアスコルビン酸。国際共通添加物番号、E300グルテンの組成を保つ、改善する目的で添加。具体的にはー発酵時のガスを強くする→つまりつぶれにくいパンやスポンジ生地になる。ーよくのびる。ー水をよく吸う→しっとりした仕上がりの食品になる。 ちなみに、天然のレモンから抽出する事はたいへん手間とコストがかかるので、人工的に生成されたアスコルビン酸が使われることが一般的。

④ アミラーゼ

…酵素の一種。発酵を促進するので、時短になる。パンなどの発酵待ち時間が短くて済む。

⑤ L-システイン

…アミノ酸の一種。国際共通添加物番号、E920もともと穀物に豊富に含まれる成分。添加目的:小麦粉の質感を良くする。ちなみに小麦粉由来の幼児用食品にも添加が認められている。

⑥ リン酸類

…国際共通添加物番号、E338。添加物に敏感な方には結構有名な添加物。ハムやソーセージといった食肉加工食品、インスタント麺の「かんすい」に含まれる。添加目的:水分を保持する効果があるので、柔らかい食感を実現するため。また、防腐・色みを鮮やかにする。 食品の中に自然に含まれているものもあり。例)肉、卵、納豆といったタンパク質食品。

⑦ 二酸化ケイ素

…国際共通添加物番号、E551。固結防止の働き。つまり小麦粉に添加の場合、ダマになるのを防ぐ目的。よりさらっとした質感。

…等々、他にもありますがとりあえず主なものをピックアップしただけでも七種類もあります。

表示なし、実質無制限で添加可能!?

イタリアの食に関する法律によると、原則は以上の添加物を、

① 小麦粉の品質を安定させるために必要な”補助剤”として使用する分には原材料名に表示義務なし。

② 原則、各添加物は最大量10,000mg/kg、あるいは10,000mg/l、つまり10gまでと決められている。 しかし別な法律により、「よりバラエティーのある小麦粉製造のために、特定の成分に関しては制限なし」ともなっているようで、具体的には・グルテン・酵素類・リン酸類・L-システイン・アスコルビン酸 などがそれにあたる。

 

結果、どんな粗悪小麦粉も「美味しくて美しい」小麦粉に大変身☆

このように、法律的に「ドーピング小麦粉」が許可されている事により、以下のふたつの事が考えられます。

① 一体どこから仕入れたかわからない、粗悪な品質の小麦粉もこういった様々な添加物で加工する事により”美味しい感じ””美しい感じ”に仕上げる事が可能である。

② 製造の段階でタンクに諸々ぶちこんで混ぜちゃえば表示不要。という事で消費者の多くは原材料名の「小麦粉」という表示のみを信じて、純粋な小麦粉だと思って買い求める。が実はかなり様々な添加物が入っている可能性がある。

 

…つまり、あまりに安い小麦粉及び小麦粉製品は、見かけはいいけれども元はとても品質の悪いものを様々な添加物で”修正”して仕上げた、本来の小麦粉としての栄養素や美味しさからはかけ離れた「小麦粉みたいなもの」である可能性がある、という事だ。ついでにそういった、どこから来たか・どういった栽培方法で育てられたかわからない小麦粉が原料だとしたら、栄養価のみならず残留農薬の点でも懸念が出てくる。

もちろん、こういった合成添加物というのはほんの少量で劇的な効果があるので、そんなにガバガバ入っているわけではない。少しでも過剰になると今度はケミカルな味が勝ってしまったりして逆にまずくなるだろうから。

しかし、今回参考にした記事で指摘していてなるほどと思ったのは、これらの添加物量「制限なし」については法で認められているものだから、食品の安全を調査する機関なども小麦粉の添加物について製品や生産工場を調査・検査する事はまずないそう。なので実質、pH調整やダマ防止、漂白…等々様々な目的でどれだけ入っているかわかったもんじゃないの、いわば「法的な無法状態」にあるのが現状、という事。

激しい価格競争にさらされている今日の食品製造業において、制限がなければ、とにかくコスト削減…の為に過剰になっていくのは想像に難くない。

↑ある日の畑おやつ。自家製ライ麦パンと手作りオレンジジャム。

 

消費者にも生産者にもいい事のない「ドーピング小麦粉競争」、そろそろやめない?

こういった実情を知らずに消費者が買う事で、思わぬ健康被害を将来招くリスクがあるのみならず、消費者が無知のまま「表面上は美しくて白くて安い」小麦粉に慣れていく事で、ますます正直な生産者が排除される市場が形成されてしまう、とこの記事では警鐘を鳴らしている。

なぜなら無添加(あるいは添加物極最小限)の小麦粉は、まず質のいい小麦粉を作るために手間と時間がかかるし、添加物で調整することができないため、多少色が悪かったり(いやそれが本来の色なのだが)、日持ちがしなかったりするからだ。一方、添加物で調整自由であれば、粗悪な小麦粉をめちゃくちゃ安く仕入れて化学物質で一気に大量に調整、最低限のコスパで完成させられるので、ナチュラル小麦粉が対等に戦える土俵ではそもそもないのである。

より美しいパン、よりフワフワモチモチのピザ、より早く発酵が終わる小麦粉…もっと、もっと、の競争を続ける限り、生産者も消費者もどんどん本来の小麦粉から遠ざかっていってしまうのだ。こういった現状を知るにつけ、どうも私の脳裏ではバベルの塔が思い出されるのだが、正にこの昔のお話が示す通り、この「もっと、もっと」競争はいつかは破たん運命にあると思う。

しかし実際に破たんしたり何かしら問題が起こる前に、気づいた人から立ち止まって軌道修正する時ではないでしょうかね。今回は小麦粉の話だけれど、食べもの全般やファストファッションなど、現代の商業システム全体に通づる事のように私には思えます。

さて、最後に…

すぐに誰にでもできる、ドーピング小麦粉を避け、小麦粉マーケットの健全化に日常から貢献する方法

・やたら安い小麦粉は避ける

・ オーガニック小麦粉ならたぶん安心

・ オーガニックじゃなくても、「無添加」を謳っているところがあるのでそういったところから買い求める

…今回の内容は、イタリア・ボローニャにあるとある「正直」な小麦粉メーカーさんのHPコラムを大いに参考にしました。イタリア及びEUにお住まいで買える環境にある方は、ご興味あれば購入してみてはいかがでしょうか。

お買い物は未来への投資♪

正直に頑張っている生産者さんを応援しよう。

 

小麦粉メーカー:Molino Bassini 1899

https://www.molinobassini1899.it/

参考にしたコラム記事:上記メーカーさんHP内にある記事「La Funzione degli Additivi nelle Farine」 https://www.molinobassini1899.it/additivi-farine/#:~:text=degli%20sfarinati%2C%20gli%20altri%20additivi,la%20maturazione%20naturale%20delle%20stesse.

Tecnologo Alimentare(日本語だと食品技術者?動画内ではフードアナリストと言ってしまってますが正しくはこちら)食の専門家であるSimona Lauriさんという方が書いた記事で該当する法律の番号まで書いてあり、とても読みがいがあります。イタリア語の勉強に、イタリア語わからないけど読みたい!という方はグーグルさんに翻訳してもらって読んでみてはいかがでしょうか。

#グルテン

#アレルギー

#食品添加物

#パン 

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