「間引かれた」牛が教えてくれること

例年より 牛が少ないと思ったら…

 

自然が壊れることで真っ先に影響を受けるのは 動物たち。

 

*****

 

…この夏、日本は異次元の暑さでしたが

スイスも例外ではなく 氷河は恐ろしく後退するわ

高原リゾート地なのに蚊にはさされるわ

世界中が「想定外」でした。

 

そんな夏の終わりに催された

牛のデザルプ(牧おろし)。

 

いつもよりも牛の数が少なく

いくぶん静かな大名行列になった。

 

その理由を 地元の方に聞いて

私は少なからず切ない気持ちになりました。

 

暑さで牧草がうまく育たなかったため

「間引き」されたそうです。

 

スイスの牧畜は基本的に

天然の牧草で育ちます。

 

特に

BIO(ビオ)認証~いわゆるオーガニック~

のお肉や乳製品となると

【完全・天然牧草のみ】

でなければいけないそうです。

 

春夏の間は

新鮮な草を追って転々としながら

アルプスの山や草原で

むしゃむしゃ むしゃむしゃ。

 

草のない冬用には

夏の間に牧草を刈り取り

納屋で保管。

 

短い春夏の間に

一年分の天然飼料を準備する

大変な仕事。

 

でもこれが 自然に従った

本来の形。

 

ところが 今年はスイスも

異常な暑さだったため

事情が違いました。

 

牛が口にするのは

草は草でも

新鮮で柔らかい状態のもの。

 

ところが

気温が高いので

草はあっという間に成長してしまい

茎が固くなり

もう飼料としては使えない代物になってしまう。

 

そこで牧畜業者は

牧草の量に対して「余分」な

牛たちを 間引きするしかなかった。

 

生産量確保のために

遺伝子組み換えトウモロコシ入りの人工飼料

という選択を取らなかったスイスに

敬意を表します。

 

けれど 家族同然の家畜を

然るべき時でないのに

間引きせざるを得なかった

牧畜業者の方、

間引きに選ばれてしまった牛(大半が仔牛でしょう)

のことを想像すると

いたたまれません。

 

私たちの「快適・便利追求生活」が

その責任の大部分を負っている

地球温暖化や気候変動の影響で、

自然に従って生きる命が

真っ先に犠牲になる事実。

 

そして自然の中では確実に

このように

危機的な症状が出始めている。

 

本気で一人ひとりが

それを認め 行動を起こしていかないと

遅かれ早かれ

自分たちにしっぺ返しが来る。

 

アルプスで自然を間近に見ていると

ひしひしと感じます。

 

できることから 具体的に。

 

※暑い夏を乗り切った牛たちの

いつもにも増してありがたいデザルプの様子。

来年はまた

たくさんの牛が戻ってくることを祈って。

 

ちなみに、生き残った牛たちも

暑さにやられて

お乳の量が少なかったそう。

 

こうして

ヒトの食卓にも

影響が出始める。

 

「酷暑はついに食卓へ…こうして普段の食が変わっていく」

スイスイタリア語圏、ティチーノの新聞記事より。

温暖化により、私たちが日常口にする食べものが

どのように影響を受けるか、短文でわかりやすく解説。

ワイン、小麦粉、チーズを取り上げているところがスイスらしい。

イタリア語勉強にどうぞ。

→ https://www.tio.ch/…/il-caldo-arriva-in-tavola–cosi…

 

 

デザルプの動画はこちらから【到着編】

 

https://www.facebook.com/507122242803562/videos/1034596956722752

 

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