Tirano在住日本人がお送りする現地情報。

こちらではTiranoでは何食べたらいいの?をテーマにお届けします。

まず絶対に味わってほしいのが、そば粉パスタPizzoccheri(ピッツォケリ)

【日本との意外な接点・そばグルメ】

まさかイタリアで…?と驚かれる方も多いのですが、実はこの地域、イタリアでも唯一、昔からそば粉を食す文化があるのです。今でも標高の高いエリアに行くと、日本人には懐かしく感じられる、白い可憐なソバの花満開の畑が広がっています。そして、そのそば粉を使ってイタリアで作る麺類と言えばやはり…そば粉パスタ「Pizzoccheri(ピッツォケリ)」です。日本で蕎麦と言えば、細くつるつるして“あっさり”の代名詞ですが、こちらのそば粉パスタは正反対。きしめんのように太く、具は葉物野菜とジャガイモ、そして味付けはチーズソース。日本のお蕎麦のイメージからすると、ちょっと「えっ…」と思われるかも知れませんが、これがまた意外なことに激ウマなんですよ。私の個人的感想だけでなく、これまで現地ガイドとして100名以上の日本人観光客の方にご賞味いただきましたが、全員の方が「意外だけど美味しい!」とのリアクションでした(ガイドを前に気を遣って下さった分を差し引いても98%はくだらないと思います)。イモとチーズでかなり重そうなイメージですが、小麦粉ではなくそば粉メインであることで、胃にもたれず消化しやすいのもポイントです。また、日本と違って殻ごと製粉しているので、いわば全粒粉。栄養の点でもプラスポイントではないでしょうか。流通が今ほど発達しておらず、大部分の住民が畑を耕していた時代、限られた食材で工夫し、速やかにエネルギー補給できつつ食後の農作業にも差し支えない食べもの…という事で、先人の知恵と文化がつまった一皿と言えるでしょう。

そば粉パスタPizzoccheriの他にも、そば粉を使ったおつまみからドルチェまで様々なレシピがあります。また、全国的にも有名な牛肉の生ハムBresaola(ブレザオラ)、アルプスハーブリキュールBraulio(ブラウリオ)等々…アルプスの清涼な気候で育ったお肉、野菜、水源に近い新鮮なお水…素材から美味しいのがこの地域の大きな魅力のひとつです。

そば粉パスタPizzoccheriは、お店や家庭によってもパスタの形や具の材料が微妙に違い、それを食べ比べるのも楽しい。

色のグラデーションが美しい生ハム類盛り合わせ。右の濃い赤が牛生ハムBresaola

アルプスと言えばこれも!ポルチーニ茸。季節には森にキノコ狩りに行くのが楽しみのひとつ。こちらはポルチーニ茸のサラダ。贅沢にフレッシュポルチーノがスライスされております。ブレザオラをバラのようにあしらった盛り付けがお洒落です。

そば粉メニューならこちらもお勧め!そば粉を衣にチーズを包んでカラッと揚げた、いわばアルプス版たこ焼き?sciatt(シャット)。

よく前菜で食べられる、ワイン一杯目を楽しみながらつまむ小料理…という位置づけです。レストランによってはこのように、普通の生ハム・牛生ハムBresaola(ブレザオラ)とお得に盛り合わせで出してくれますのでお勧めです。単品で頼むと胃の小さい日本人には前菜でもうお腹いっぱいになるんですよね。

【地元ワインも絶対飲んで!…実はワインも有名なこの地域】

Tiranoは、Valtellina(ヴァルテッリーナ)というエリアのちょうど中間地点あたりに位置します。Valtellinaとは、Le Alpi(アルプス)とPreAlpi(プレアルプス)を分けるように東西に長く広がる谷間で、はっきりした寒暖差・低湿度という気候と、日当たりのよいアルプス山の南斜面を活かして、ローマ時代からワイン造りが行われています。それが、日本ではマイナーですが、イタリアでは有数のワイン銘柄のひとつ、Valtellinaワイン。

使われる品種は、日本で結構人気のBarolo(バローロ)と同じ品種Nebbiolo(ネッビオーロ)。北イタリアの限られた地域でしか栽培されないブドウ品種で、アルプスの風のように爽やかな味わいが特徴です。ワイン好きさんの間では結構ネッビオーロファンが多く、しかも日本では当地のワインはまだそんなに出回っていない為、Valtellinaワインと聞くと目を輝かせる方が多いです。

【ワイン造りをめぐる旅もお勧め】

味のみならず、特異な立地にあるブドウ畑もこの地方の見どころです。アルプスの急峻な斜面を利用したブドウ畑は、まるで日本の棚田のように、石垣で仕切られた小さな段々畑になっています。が、日本の棚田と違うのはその斜度。3,000m級の山々が連なるアルプスですので、場所によってはまるで絶壁のようなところにも、丁寧に小さな畑がこしらえられていて、そのグラデーションを遠目で見ると、まるで緑の波が連なっているようでとても美しいです。そんなブドウ畑の中をずっと歩いて行ける遊歩道も整備されており、途中にワイナリーやレストランもありますので、ワインを味わいながら、それが生まれる背景や歴史に思いを馳せるのも一興ではないでしょうか。

毎年9月中旬日にはワインフェスティバルも開催されています。地元ワインの中でも特殊な製法と深い味わいで貴重とされるフルボディワイン、Sforzato(スフォルツァート)の利きワインができるイベントです。夏の終わりの夜、町中の歴史あるパラッツォも無料で公開され、広場では生演奏…旧市街全体がお洒落なBarのようになる、とてもイタリアらしく雰囲気あるイベント。ワイン好きな方には是非お勧めです。

ワイン祭りEroico Rosso → https://www.eroicorosso.it/

斜面に何キロも続くブドウ段々畑(Tirano市パンフレットより)

食卓を色と味で彩る地元ワイン。地元でしか飲めない小規模ワイナリー銘柄もたくさんあるので、お気に入りを見つけるのも楽しい。

地元の生活の様子などは、Youtubeにて投稿しておりますので、ご興味ある方はご覧いただけますとイメージがつきやすいかと思います。

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