日本は寒波豪雪、伊アルプスは暖冬小雪…極端化する世界の気候

日本では10年に一度の寒波および豪雪で各地大変なようですが、あなたの住んでいる地域は大丈夫でしょうか?

一方こちらイタリアアルプスはというと、暖冬かつ雨雪といった降水量が少ない冬になっております。 (アルプスといっても広いので差はあると思いますが少なくとも私の住んでいる地域)

ほぼ毎日晴天でポカポカと暖かいのは過ごしやすくて農作業もしやすく一見いいですが、長期的視点で見ると心配です。 昨年の夏、欧州は熱波に襲われて異常な暑さと水不足で水源が枯れたり湖の水位がものすごく下がり、戦時中の戦艦や白骨が何十年かぶりに再発見された…なんてニュースが日本でも大々的に流れていたので記憶にある方もいらっしゃると思いますが、水不足は夏のみならずその前の冬から始まっていたのです。それについては夏場に熱波に関する動画をあげた時に話していますのでご興味ありましたらご覧ください。

昨シーズン、2022年の冬もずっと晴天かつ雨雪がほとんど降らずでしたので、この冬がもしこのままで終われば二年連続で水不足の年となるでしょう。 冬にしっかり寒くなりかつ雪がたっぷり降る事で、来る春夏の命を支えます。 雪が万年雪や氷河となり山に留まり、夏場すこしずつ融けていく事で山の地面にゆっくりとしみ込み、わき水となって下界を潤す。地球規模で見ると山というのは天然の水がめ。

ところが降水量が少ない上に年中暖かいと、どんどん山に蓄えられている雪や氷河が融けて、水がめの貯水量が減っていってしまいます。

また、しっかりと寒くなる事で土壌が凍り、いわゆる害虫・害獣と呼ばれる虫やネズミの繁殖を抑える役割も果たします。冬の低気温はいわば天然の害虫駆除剤。

しかしこんなにポカポカなままだと害虫の卵やさなぎも容易に越冬しネズミはわんさか繁殖し、結果、春夏に我々が食べるべき食物を荒らされちゃうことにつながるわけです。 実際にここアルプスでは、4~5年前までいなかった蚊がすっかり定着したことは以前の動画でお伝えしましたが、それだけではなく、前まではいなかったアジア原産のカメムシが発生しすでに定着した模様です。カメムシ自体は存在していましたが、この地原産のカメムシとは長年の共生でバランスがとれていたのでしょう。しかし欧州にとって新種であるアジア産カメムシに対する抵抗がおそらくこの地方の植物にはないので、被害が結構出ています。温暖湿潤気候に適したカメムシが今やアルプスでも越冬できるくらいの暖かさになったという事ですね。

今の現象が2~3年というイレギュラーな事象で終わればいいですが、もし今後も何年もこういった状況が続いた場合、その影響はここ5年10年のみならず、五十年百年先の自然や我々の生活にも影響を与えてくるでしょう。

今は温暖化なのかそうでないか、いろいろ議論がありますが真相はわかりませんし、はっきりいって私はそこにあまり興味はありません。ただ現実として近年、気候が極端になっている事は確か。降ってたところに降らなくなったり逆に降らなかったところに降ったり。そして降る時はとても土壌が許容できない量降って土砂崩れ…等。 正に今、強烈寒波に襲われている日本とポカポカ春の陽気のアルプスがそれを表しているように思えてなりません。

そしてそういった極端化する気候によって、食物の収穫にものすごくムラが出たり、今までその地で育っていたものが育たなくなったりすると、初めは農業に関わる人への直接的・限定的な影響から始まりやがては回りまわって我々みんなの食べ物・生活に多大なる影響が出るでしょう。

…まだ1月下旬なので、これからアルプスにもしっかりとした寒さが到来し豪雪になるかもしれませんし、そうなる事を祈ります。

これと同様の内容は以下の動画で話しております。今のアルプスの景色と共に聴きたい方は是非ご活用ください。視聴後は良かったら動画内のコメントでご意見ご感想お聞かせくださると嬉しいです。

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