イタリアの8月15日祝日Ferragosto の意味が奥深い

8月15日と言えば 日本では終戦記念日かつお盆真っ只中という事で しっとりした雰囲気の日かと思いますが イタリアでは祝日であります。

なんでフェッラゴストって言うんやろ〜変な名前〜と思っていたのだけれど 意味を博識の友人に聞いたらとても興味深かったのでシェアします。

現代では一般的に 

聖母マリア様が天に召された日

という事になっていますが この祝日命名の起源はローマ時代初期にまで遡ります。

初代ローマ皇帝である"アウグストゥス(シーザーという名の方がお馴染みかも知れぬ)の休息"という意味のラテン語

feriae Augusti(フェリアエ アウグスティ)

が だんだん変化していってFerragosto になったそうな。

要するにローマ皇帝さんも盛夏のこの時期には夏休みをとっていたらしい。

そしてその時期に合わせて 一般庶民の間ではFiera(フィエラ…青空市)がその頃から習慣化されていた。

※ちなみに8月…August…はまんま彼の名から来ている。

んで ここからが個人的には一番面白かったんだけど、代々専業農家を営む彼が言う事には

そもそも祝日や祭りは自然のリズムに沿った、そしてそれと共に生きていた農民達の生活が元になっている…と。

私もかれこれイタリアで10年畑やっててつくづく感じるのは 確かにこの時期は百姓にとって ほんのつかの間一息つける時期なのだ。

早春の土づくりに続く種まき、雑草と格闘しながら苗を育て、初夏からは競うように様々な野菜果実が実り大忙し。8月入って少しすると 夏野菜は落ち着いて雑草の成長も遅くなり、ブドウやカボチャはじっくり成熟するのを待つばかり。秋冬野菜の種や苗植え付けはまだ余裕があるし これまで自然の目いっぱいのパワーに遅れまじと走ってきたところ ふと一息ついてもいい感じになる。同時に 前半の疲れが出る頃でもあるから休息が必要でもあるのだ。

そしてこの時期 農夫の手元にはとても一家では食べきれないほどの野菜果物があるから フィエラに持ち寄って物々交換や販売するのにもちょうど良かったのだろう。

クリスマスが農業閑散期真っ只中にある事に加え 今回もなるほどね〜!と ひどく納得したのでありました。

マリア様が天に召された日の事をイタリア語では

L’assunzione di Maria アッスンツィオーネ ディ マリア

というのだけれど、アから始まるつながりでこの日にしたんかな〜、と想像したりもしました。

…と言ってもこれは別にキリスト教を否定するなどの意図は全くありません。

まぁ個人的に宗教とは全般的にどれも自然崇拝的なものが起源で のちに権威と結びついて聖人や儀式が後づけされたとは思ってるけど。

それはさておき

日本でもイタリアでも 祭り・祭日というのは古来からの、今よりずっと自然と共に生きていた人間の生き方のリズムから来ているんだなぁ、と改めて実感し 軽く気持ちが震えた次第です。

写真は Ferragosto の日訪ねた アルプス山奥で夏の放牧をしている友人の親戚の山小屋。ここで昔ながらの製法でとっても美味しいチーズを作っています。

ちょっとドロミテ地方を彷彿とさせるごつい岩山を背景にひっそりとたたずむ夏の山小屋。内部はザ・ハイジの家って感じでした。
牛たちが草をはむ合間をぬって山小屋に向かう。飼い主を盾にして隠れながらついて行く愛犬ブーボだが、目が合ってしまった瞬間。この後踵を返して私の元に逃げ帰ってきます。

そしてお昼は、北イタリアの名物、トウモロコシ粉のお粥的な主食ポレンタとお肉トロトロ煮。できるまでの間に山を良く知るPさんはポルチーニ茸を両手に抱えきれないほど採ってきました。

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