「陽性」で大騒ぎするのはもうやめません?~イタリアから学べること~

1.年末になり、陽性者が爆増のニュース

先日、ニュースで観てちょっとびっくりしたのだけど、イタリアではこのクリスマス~年末年始休暇に備えて、急に多くの人が新型コロナ検査(PCR,抗原検査各種)を受け、結果陽性者が爆増しているそうだ。

イタリアの経済的首都と言えるミラノがあるロンバルディア州だけで、一日で20万人もの人が受けたという。例えて言うと、ミラノの人口は約100万人。私の故郷仙台の人口と大体同じなので、いわば宮城県だけで20万人の人が検査を受けたイメージになる。

なぜそんな事態になっているのか。

2.病原菌特性検査の大前提とは

その理由の前に、まずは検査そもそもの定義、意義、使い方についておさらいしよう。

大前提としてとして、

1.【まず症状があり、確定診断の一助として用いる】

ものであると言う事。

過去に多くの人がやった事あるであろうインフルエンザの検査だって、全く症状ない人にしませんよね?仮に症状があったとして病院に行っても、熱がなく単に頭痛程度だったら、むしろ頼んでもインフル検査必要なし!と言われるケースもあったと思います。

2.【擬陽性があり得る】

各種あるこの新型コロナの検査、種類にもよりますが、精度は50~70%と言われています。

3.【陽性者と感染者は違う】

これは当初から言われていた事ですが、検査で単に陽性が出るのと、本当に該当する菌やウィルスに感染しているのとでは違います。(一般には、症状がなくて検査のみで陽性の場合は「保菌者」であって感染者ではない。感染者とは、その病原菌特有の症状がある事を言う。なので、新型コロナになってから良く言われる「無症状の感染者」とは厳密には感染者とは言えないと思うし、症状がないってことは咳などでまき散らす可能性も低いので、隔離自体いらないと思っている。)

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こういった前提があるので、そもそもこういった病原菌特定検査は症状もないのに「念のため」受けるものではないし、100%あてにできるものではない。言ってみれば、コインの裏か表か、サイコロの半か丁かみたいなもんだと思っている。

3.イタリアで陽性者爆増の理由

にもかかわらず、イタリアでは多くの人が何の症状もないのに「一応」「念のため」で受けまくったのである。なので、具合悪い人が続発してイタリア中がパニックとか病院のベッドが足りないとか、そんなことは全然ない。(特に日本でももしかして”イタリアの陽性者が過去最多で…”なんてニュースがあるかも知れないが、そういう事情がある事をお忘れなく)

で、何の「念のため」かというと、イタリアではクリスマスから年明け1月6日までが長~いクリスマス休暇シーズンとなっており、日本のように都会に出ている人も田舎に帰り、親戚一同が集まって会食などするのが恒例である。その帰郷前に「おじいちゃんおばあちゃんに万が一移があってはいけないから」と言って、いわば自分の白を証明するつもりで軽い気持ちで受けたところ、予想に反して「陽性」と判定され、帰郷どころか10日間の自宅隔離に、濃厚接触者の家族もろともなってしまった人続出…というわけだ。その気持ちはわかる。わかるが、その検査の使い方は間違っている、と私は思う。

そしてそれを受けて大手マスコミを筆頭として「陽性者が過去最多!」と大騒ぎして見事に煽っているので、心配になった人々がますます検査場に殺到する…というサイクルなのである。

 

振り返ってみるとイタリアは、当初から検査しまくりであった。2020年3月、発症国C国以外で世界初のロックダウンとなった際には、少しでも症状がある人、及び濃厚接触者にすかさず検査をし、徹底的に外出禁・隔離してきた。その対応に当初は「さすがイタリア、素晴らしい」と思っていたのだけど、今はもう状況が違う。死亡率がどのくらいか、感染力がどれほど強いか、健康な人ならば風邪程度で終われるほどの危険性であると言う事… さらにオミクロンまで変異した今では、ほんとに風邪程度になっている。それにもかかわらず、未だに当初同様の厳しい規制を敷く意味があるのだろうか?

4.どうしても「陽性者」が多くなってしまうイタリアとヨーロッパの事情

さらにイタリアというかヨーロッパ特有の事情として、どうしても検査数が増える現実がある。

まずイタリアでは、グリーンパス取得の為に検査する人が増える。グリーンパス取得の条件として、ワクチン接種あるいは検査での陰性証明があるからだ。さらにこの秋からグリーンパスが全職種に義務となったので、ますます検査数が増えることになった。

次にヨーロッパも含めて見ると、国ごとにワクチンパスポートのルールが違うものの、国境を超える時は原則検査が必要。ここが島国日本と大きく違う点なのだが、陸続きのヨーロッパでは、国境を越えての移動が大変多い。

家族・恋人・仕事…日常の様々な事が国境をまたいで普通に行われている。

そんな事情があるので、日本に比べて国境越えする人の数は膨大。よって検査数もかなり多くなる。つまり分母が増えるので分子である陽性者も増えるのは当たり前。もし、日本でもイタリア同様に数こなしてたら、もっと陽性者多かったと思う。

なのに、何をそんなに大騒ぎ?と疑問に感じてしょうがない。

5.少しは気づいてきたかも知れないイタリア

で、イタリアでは今回このナターレ(クリスマス)で家族全員監禁騒動を受け「陽性者のみの隔離で良い」「無症状者は10日でなく5日の隔離で良い」など議論が盛り上がっているのだが、それはようやく少~し、今のやり方が過剰だと気づいてきたのかな、と思っている。

個人的には今のオミクロン程度であれば

1.無症状なら、外出範囲制限だけつけて(徒歩圏内買い物程度)特に自宅隔離も不要。マスクだけ常時つけて行動。目安5日間

2.そもそも、オミクロンに限らず検査するのであれば、インフルなど他の項目も一緒にすべき。DNAの断片を検出という検査の特性と擬陽性を考慮して、複数の検査やって結果コロナだけ陽性ならわかるが、コロナのみを検査してそれが出たからコロナと断定だなんてフェアじゃないし、全然医学的でもない。

…と思っているのだが。

あなたはどう思われますでしょうか。

 

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