「ボジョレーヌーボー」に違和感しか感じられない理由

~アラフォーハイジ・ワインの造り手としての素朴な疑問~

 

イタリアでワインを造るようになり

ワインができる過程と、それにかかる時間が

どれくらいか知ってからというもの

「この時期に、もうワイン初物って可能なの?」

と ずっと疑問でした。

 

それで調べてみたところ

個人的にかなり衝撃の事実が…

 

結論から申しますと

そもそも造り方が

普通のワインとは全然違うのです。

 

ワインとは普通 収穫してから

房の枝部分と実を分離して

樽などに入れ

酵母の働きで発酵。

 

空気(酸素)とよく触れさせるために

毎日かきまぜることは

この前レポートした通りです。

 

一方 ボジョレーヌーボーの造り方は

これとは全然違う

「マセラシオン・カルボニック法」というもので

言ってみれば

「無酸素浸漬(しんし)」。

 

詳しい製法は他で丁寧に説明してくれているので

そちらに譲るとして

(ご興味ある方は、上記製法でググればすぐ出ます)

 

ざっとまとめると

・ブドウは房の枝と分離せず丸ごと入れる

・あえて酸素とは触れさせず密閉しておく

 

酸素を用いない嫌気性発酵で

造られてできたのが 現在の

「ボジョレーヌーボー」

なのであります。

 

この製法によって

普通 ブドウがワインらしくなるまでに

つまり「初物」といえるくらいになるまでに

1ヶ月はかかるところ

約半分の2週間でできるという。

 

この発見は

1934年にフランスで

”ブドウを別な時期に利用できないか”

という目的から

”じゃあ、発酵しないように真空にしたらいいんじゃね?”

ということでやってみたことから発見された

いわば偶然かつ

本来の目的から外れた「失敗」から

生まれたもの。

 

それはそれで

新しい方法としていいとは思うのだけど…

 

どうも私が違和感を覚えてしょうがないのは

 

1.みんなが期待するであろう「ワイン初物」とは全然別モノである。

2.そもそも、いわゆるワインと呼んでいいものかどうか。

3.世界中に輸出することを考えると、どんだけ早く収穫してんねん。

という点である。

 

だって普通「ボジョレーヌーボー」と聞くと

”今後成熟していく前のできたてワイン”

というイメージで買いませんか?

 

ところが実態はそうではなく、

「ボジョレーヌーボー」という商品のために

別個で 全く別の製法で作られたアルコール飲料。

 

ボジョレーヌーボーの始まりがそもそも

”初物”を楽しむところから始まったことを考えても

今のヌーボーは 全く違うものなのではないか。

 

そして、何千年も受け継がれてきた普通のワインの製法とは

全く違う発酵で造られたそれは

はたしてワインと呼んでいいものなのだろうか…?

 

さらに疑問に思うのは

発酵の短さだけではなく

収穫の時期。

 

例えば

ヨーロッパから日本に

アルコールを輸入する際

輸送時間や税関検査を考慮すると

1ヶ月は見た方がいい。

 

11月の第3木曜日に

お店に並ぶことを考えると

遅くとも10月半ばには

現地を出発してないといけない。

 

そしてそれに間に合うように

発酵期間や瓶詰め作業を考えると

9月中旬には収穫してないと

間に合わないんだよね…

 

ボジョレーの気候や歴史を調べてみると

限りなく私が住んでいるところに近いので

普通 収穫適期は10月半ばと思われる。

 

それを 9月中に収穫するということは…?

 

まぁ 普通じゃない発酵方法なので

成熟しきってないブドウでもいいのかも知れないけど

私にはどうも 収穫時期といい発酵方法といい

ブドウに無理強いしているように

感じられてならない。

 

そしてついでに言うと

これだけ世界中で有名になったボジョレーヌーボー。

ボジョレーという限られた地区の中で

そんなにグローバルに輸出できるほど

生産できるんだ???

 

 

「売れるから」で発展してきた

ワイン初物ビジネス。

(特に初物好き日本では、もはや

ボジョレー産だけではない)

 

価値観は人それぞれなので

判断はお任せしますが、

イメージだけでお買い物をすると

期待したものとは全然違うものを、

しかもいつもより張ったお値段で

買うことになるという事は

マーケットではよくあること。

その点、参考になれば幸いです。

 

そして私は

春先の寒の戻りや夏の日照りにも負けず

頑張って実ってくれたブドウに

これ以上無理強いしない

自然に発酵したワインを

飲みたいと思うのであった。

 

※動画は、晩秋の午後、ブドウ畑のど真ん中でイーラとくつろぎ中の様子。山頂付近はすでに冠雪した、アルプスの風景をお楽しみいただければ幸いです。

https://www.facebook.com/507122242803562/videos/1064056243776823

今年のブドウ収穫日のひと時。ピエモンテから家族総出で来てくれたEriさんと共に♪

 

 

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